ドラクエごっこ『オーゲル城の姫と仲間たち』

第1話: ポリフォン城を救え!

(2013年1月末から2月に、MaimaiさんとDarth Yumiがアイディアを出し合い、ひずみ庵の日記で連載していたものをまとめました。)


          

(物語はいきなり知らない村の夜から始まっている。)

3人が建物に近づくにつれ、賑やかに談笑する声も聞こえてきた。


勇者カメジロ「おい、普通はまずスライムとか弱いモンスターをやっつけて、G(ゴールド)や経験値アップだろ?」

吟遊詩人オルフェ「何も出ませんね、皆さん手持ちは?・・・私はなぜか1000Gありますが」

占い師(?)シグマ「私、50Gしかないよ!? 武器も防具もないし~(汗)」

カメジロ「ぐあ~っ25Gだけだ、武器もない、防具は・・・「カメの甲羅(けっこう防御力あり)」だ・・・」

オルフェ「私はLv(レベル)99ですね、おふたりは?」

カメジロ「え~と・・・な、なんだと~Lv1ぃ~!?(汗)」

シグマ「私は3ですって(汗)、それじゃ頼りになるのオルフェだけじゃん」


考えていても仕方ないということで、3人は酒場に入って、陽気なマスターや他の客たちの歓迎を受けた。
オルフェは乞われて竪琴を鳴らし、楽しい歌を歌い、みんなで盛り上がった。


マスター「あんたがた、もうお城へは行ってみたかね? まだならあしたぜひ行ってみるといいよ」

酔客「マイマイ姫さまのご婚礼の祝宴が続いてっから、何かお祝い持っていきなよ」

オルフェ「そうですか、ではぜひ・・・お祝いの品は何がよろしいでしょうね?」

マスター「あんたの歌がありゃOKだが、あとは酒好きの大臣に高級な酒がありゃもっといい」


ということでプレゼントの酒を購入して3人は宿屋も兼ねた酒場に泊まることになったのだが・・・
ふと店の隅のテーブルを見ると、御高祖頭巾(おこそずきん)の男がバニーガールたちに囲まれている。

(注:御高祖頭巾とは、「越後屋、そちもワルよのう」「なんの、お代官さまにはかないませぬわ♪」の代官のかぶるような覆面である。)

キャッキャとはしゃぐバニーガールたちとたわむれているうちに、その頭巾はスッポリ脱げてしまった。
「あ・・・」
急いでかぶり直したものの、長衣の男とカメジロたち3人はしっかり目が合って、3人は思わずペコリと会釈した。

頭巾の男はバツが悪そうにそそくさと勘定を済まして店を出て行った。


          

一夜が明け、吟遊詩人オルフェ(Lv99)、勇者カメジロ(Lv1)、占い師(?)シグマ(Lv3)の3人はオーゲル城に向かった。


カメジロ「なあ、武器とか買わなくていいのか? 勇者が剣の1本も持ってなきゃ信用してもらえねえぞ?」

シグマ「手持ちのG(ゴールド)が少ないし、やっつけるモンスターもまだ出ないんだから、安いのにしてねっ」


というわけでお城の手前の武器屋で「兵士の剣」240Gをオルフェにおごってもらったカメジロは意気揚々。
お城に入ると、門番も使用人たちも来客も旅人たちも、ウキウキとお祭り気分に浮き立っている。


オルフェ「我ら3名、遠い異国から参りましたが、姫様のご婚礼と聞き及びお祝いを申し上げたく」


アッサリと宴会の大広間に通され、雛壇のほうへ案内されたのだが・・・ガードが甘いじゃん、とカメジロは思うのだった。
まずは口々に「ご婚礼おめでとうございます」と祝詞を述べながら、大臣のそばに寄る。


ヌシー大臣「おお、勇者のパーティー(一行)か、ご苦労である、吟遊詩人には後で歌っていただくとしよう」

カメジロ「(小声でコッソリ)大臣、これはうめえ酒ですんで、ぜひ大臣のお部屋に・・・」

ヌシー「ん?(小声で)これはかたじけない♪(酒を隠してから大声で)ささ、遠慮なく飲んで食べてくつろいでくれ!」


大広間には美しい竪琴の音色が流れていた。
楽師長カノンを筆頭に、腕自慢の女性楽師たちがかわるがわる演奏を担当しているが、意外にもヌシー大臣も名手であるという。

しばらくして、マイマイ姫が大臣に、オルフェの歌が聴きたいと告げた。
オルフェは次々と美しい曲を披露して、会場の外まで人々がうっとりと聞き入った。


マイマイ姫「ああ、素晴らしい・・・あなたさまにお願いがあります」

ヌシー「姫っ、まさか、ポリフォン城へ行ってくれなどというのではございませんな!?」

姫「いえそのまさかですけど(笑)、このかたたちならきっとうまくいきます♪」

カメジロ「あの~、ポリフォン城ってぇのは、危ねえとこじゃねえでしょうね?(ドキドキ)」

ヌシー「・・・あんた、勇者といってもまだ駆け出しだな? それじゃいかん」

大臣の提言は、3人でまずダーマ神殿を訪れ、オルフェ以外の2人が適職を見つけてもらえというものだった。


          

ヌシー大臣から「善は急げだ、さっそくダーマ神殿に赴(おもむ)き、適性のある職業にしてもらいなさい」と言われた3人。


カメジロ「おれぁもうかなり飲んじまいましたぜ?(汗)」


大丈夫だろうとアッサリ言われて、近くの「ダーマ神殿」に入ると、「はい、奥のほうへ」と案内された。


司祭「はい次の人・・・あっ、そ、その方(ほう)らは!」

カメジロ「え? ・・・あっ、ゆうべの御高祖頭巾(おこそずきん)のおっさん!?」

司祭「シ~ッ、声が高い、頼むから昨夜のことはくれぐれも口外せぬようにな」

カメジロ「へいへい、大丈夫ですぜ、あっしは口が堅てえんで♪(ニヤニヤ)」

司祭「コホン・・・それでどのような職業をお望みかな?」

カメジロ「おれぁ「勇者」でいいんだけど、Lv90くれえに上げてもらえねえかな?」

司祭「(コケる)い、いきなり何ということをっ・・・そなたは勇者には向いておらんようだが」

シグマ「どうもすみませんねえ、礼儀知らずで・・・この人今Lv1ですが、もうちょっと高いレベルがもらえる職業ありませんか?」

司祭「そなたは・・・え、「占い師」? それはプレイヤーが選べる職業の中にはないぞ? 「吟遊詩人」も」

オルフェ「司祭様、ここはひとつ特例で、私を吟遊詩人のままにしておいてくださいませ」

カメジロ「四の五の言ってねえで、何にしてくれんです? 「僧侶」なんていやですぜ?」


司祭「ふむ、今、空きがあるのは「盗賊」だけじゃな」

シグマ「ドロボーですか、はい、それでいいです♪ カメちゃんもそれでいいねっ」

司祭「転職じゃから、Lvはふたりとも1からじゃ」

カメジロ「・・・ゆうべは楽しかったッスね~♪」

司祭「ぎくうっ、い、いや、今なら期間限定サービスで、Lv90で・・・よいなっ?(汗)」


というわけでオーゲル城へ戻った3人、ヌシー大臣の部屋に行くと、そこにはマイマイ姫も待っていた。


ヌシー「なにっ、吟遊詩人と2人の盗賊!? いやなパーティー(一行)だな」

姫「あら、いいじゃないですか♪ さっそく午後から計画を実行したいと思います!」

ヌシー「しかし姫、この者らだけでは・・・」

姫「ポリフォン城へは、私も行きます!」


          

何やら怪しげな「ポリフォン城」に自分も行くと言い出したマイマイ姫に、ヌシー大臣は大慌て。


ヌシー「姫、そのようなワガママを言われては・・・第一、婚礼の途中ではありませんか!」

姫「えへへ♪ ちょっとだけ! ・・・実はね、最近よく夢の中でポリフォン城へ行きなさいって声が聞こえるの」

オルフェ「それは、姫様だけなのですね? どんな感じの声でしょう?」

姫「男とも女ともつかぬ中性的な声なのですが、きれいで、懐かしくて心が洗われるような声です」

シグマ「あの~、新婚さんですから、だんなさまをおひとりになさってはまずいのでは?」

姫「そこで吟遊詩人オルフェ、あなたにお願いがあります、この城にいる人全員をしばらく眠らせてください!」


カメジロ「そら難しいんじゃねえか? シバキ倒してもすぐ目ぇ覚ますやつもいますぜ?」

シグマ「な、何を乱暴な・・・オルフェはギリシャ神話のオルフェウスみたいに歌で眠らせるんですよ、きっと」

カメジロ「おれたちまで眠っちまったら、なんにもなんねえぞ?」

オルフェ「眠ってはいけない人は城の外へ出て耳を塞いでいてください。(笑)」

シグマ「ところで、ポリフォン城っていったいどんなお城なんです?」

ヌシー「ま、ハッキリ言えば廃墟ですワ、100年前から誰も住んでいないのだが、それだけに幽霊が出るという噂も・・・」

カメジロ「にゃにぃ~っ!? ・・・おおおおおれは、こっこっこ、怖くねえからなっ(ガクガクブルブル)」

姫「幽霊はともかく(笑)、ものすごく美しい歌が聴こえるという噂は私も耳にしますから、気になっているんです」

オルフェ「姫様は何かの使命を与えられているのかもしれませんね」

ヌシー「で、では、ちょっとでも危険を感じたら即、脱出呪文を使って逃げるということで」


ということに話が決まり、姫は一旦宴会場に顔を出し、少し疲れたので自室にて休むと周りに告げてこっそり身支度をした。
かねてから準備していた秘密の出入り口から、ヌシー大臣と共に城の裏へ抜け出し、合図を聞いて耳を塞ぐ。

3分ほどすると、オルフェ、カメジロ、シグマの3人が駆け付けてきた。
カメジロとシグマが先に外へ出て、オルフェは宴会場から歌いながら城の隅々にまで歌を届け、正門から出てきたのだった。

森の中をしばらく進むと、古色蒼然とした古城が姿を現した。


カメジロ「お、おれは難しい「しんがり」を務めよう、オルフェから先にどうぞ」


鍵の壊れた扉をギギイ~ッ・・・と開いて中へ入ると、どこからともなく笑い声が聞こえてきた。

フォッフォッフォッフォ・・・


カメジロ「うわ、んででででで、」

ヌシー&カメジロ「出たあぁ~~~~~~っ!!」

姫「・・・ちょっとふたりとも、ユニゾンでビビらないでよっ」


          

オルフェ、シグマ、ヌシー大臣、マイマイ姫、カメジロの5人の前に現れたのは、半透明の人影だった。
姿はいかめしい老貴族の風貌だが、姫に向けられた表情は、友好的な笑顔だ。


ポリフォン公「フォッフォッフォ、やっと来なすったな、嬢ちゃん・・・待っておったよ」


害意がなさそうだと見るや、ヌシー大臣と盗賊カメジロが姫をかばうポーズで前に回って出た、


ヌシー&カメジロ「おう、おっさん、 、、」

ポリフォン公「お、おっさんとは(汗)・・・ユニゾンで失礼なことを言うでないっ」

姫とシグマ、失礼なふたりを引っ込めて、

姫「あなたさまは・・・私を待っておられたのですか?」

ポリフォン公「そうじゃ、我らはポリフォン一族の残留思念、オーゲル城に音楽をこよなく愛するお子が誕生したのを感知してな・・・」

ヌシー「ポリフォン一族といえば、100年前に途絶えた貴族で、言い伝えによればみな竪琴の素晴らしい名手であったと・・・」

姫「あっ、ホールの隅に古い竪琴がありますね!」


見れば薄暗い大広間の隅に、埃にまみれた大小いくつもの竪琴が放置されている。


          

ポリフォン公は寂しげに竪琴を見て、次にオルフェに向かってうなずいた。
オルフェはうなずき返し、自分の竪琴を奏でて歌い始めた。

ひとつの歌ごとにポリフォン城の空気が変わり、薄暗かったホールに明るい光が満ち始めた。

ふと見ると、半透明の貴族たちがおおぜい現れて竪琴を手にしてほほえんでいる。


カメジロ「うわ、出たぁ~っ!?」

ヌシー&カメジロ「リレミトっ(脱出呪文)!!」

ポリフォン公「あっ、こらっ」


・・・次の瞬間、ヌシー大臣とマイマイ姫、オルフェ、シグマ、カメジロの5人は城の外に立っていた。


姫「こらあっ、いいとこだったのにダメじゃん(汗)」

ヌシー「あ・・・すんませんつい(笑)」

カメジロ「いや~またユニゾンやっちまいましたね、おれたち気が合うようで」

ポリフォン公「お~い、早く戻ってこんかっ」


5人は口々に「は~い」「すみませ~ん」と言いながら城に駆け戻った。


ポリフォン公「まったく~、あわて者どもが・・・とにかくまずは嬢ちゃんと吟遊詩人にお礼を申し上げる」


そしてポリフォン公を初めとして次々に竪琴と歌が披露された。
その美しい音色に、5人とも言葉をなくして聴き入り、マイマイ姫のほおには涙が伝い落ちた。 


          

ポリフォン一族の貴族・貴婦人たちそれぞれの美しい歌が流れた後には、城の周囲の森に花が咲き、鳥の声があふれた。


ポリフォン公「これで我ら一族は、我らを必要とするところへ転生していくことができる・・・」


一族が離散してその後滅びたのは、戦乱の世の中が始まった時であったという。
戦(いくさ)が終わっても、彼らの歌を人々が必要としなくなり、一族は忘れられてしまった。

近年になってオーゲル城にマイマイ姫が誕生し、竪琴と歌をこよなく愛する人がまた増えてきたのを、ポリフォン公の魂は察知した。


ポリフォン公「一族が再び集まって転生するエネルギーをもらえる日を待っていたのじゃよ♪」

マイマイ姫「私たちでお役に立てたのですか、そうであれば本当にうれしいことですが・・・どこへ行かれるのですか?」

ポリフォン公「宇宙は多重構造になっておってな・・・そうじゃな、嬢ちゃんたちは「裏の世界」のことを知っておるかの?」

全員「裏の世界?」

ポリフォン公「この世界と背中合わせになっておる世界じゃが、まああっちから見たらここが裏の世界じゃがの(笑)」


カメジロ「あの~、おれたち、どっから来たんでしょうか?」

シグマ「ハッ、そうでした、私たち3人はゆうべいきなりお城の近くにいたんですが、それまでの記憶がないんです!」

ポリフォン公「お前さんがたは、ここと裏の世界のさらに中間の、「ネットの世界」から来たのじゃな♪」

ヌシー大臣「うぅ、混乱してきましたぞ?」

ポリフォン公「その「ネットの世界」にも、嬢ちゃんやそなたの人格が存在しておる、5人はそこで知り合いのはずじゃ」


シグマ「私たち3人が記憶をなくしているのは、移動してきたからなのでしょうか?」

オルフェ「それより、「ネットの世界」とこちらと、姫様たちは両方にいても私たち3人は片方にしか存在しないのでしょうか?」

ポリフォン公「いやそんなことはない、ここはいわば都合によって急にできた世界じゃからの(笑)」

姫「じゃあ、私たちには記憶があるというのは?」

ポリフォン公「そうでないとワシが困るからじゃ(汗)」

カメジロ「にゃに~っ!? おっさんの都合で決めたんかいっ」

シグマ「ちょっと待ちなさいよカメちゃん、もうちょっとお話を聞きましょ!」


ということで、ポリフォン公は世界の秘密について語り始めた。


          

ポリフォン公が語るところによると、多重構造になったそれぞれの世界にこのメンバーがいる。
今みんながいるポリフォン城やオーゲル城のある世界の裏に、物質で作られた世界がある。
その中間にも「ネットの世界」がある。


ポリフォン公「この世界の楽師たちは、裏の世界では「オルゴール」という自動演奏をする機械、カラクリなのじゃよ」

ヌシー大臣「え~っ!? それじゃ私やカノン楽師長ほかの竪琴演奏者や、吟遊詩人オルフェ殿も機械!?」

ポリフォン公「そうじゃよ、お前さんがたは今も製造されている工業製品じゃが、ポリフォン一族はもう生産されておらん」

マイマイ姫「えっ、では裏の世界ではポリフォン公たちに会うことはできないのですか!?」

ポリフォン公「いやいや、オルゴールを集めた博物館などを訪れれば、いつでも会うことができるでの♪」

カメジロ「おいオルフェ、おめえさんも機械だとよ、おれはきっとイケメンな人間だろうなあ」

ポリフォン公「う~む、お前さんは・・・人間ではないな・・・なるほど、大きな亀じゃ!」

カメジロ「にゃに~っ!? おおおおれは、人間より立派なもんだったのか♪」


          

物質でできた世界では、竪琴を奏でる楽師たちは「オルゴール」という機械、盗賊カメジロは大きな亀・・・
ポリフォン公の説明に驚く5人だったが、さらに説明が加えられた。


ポリフォン公「実はもうひとつお前さんがたに頼みたい、大事なことがある・・・これっカメジロ、寝るでない!」


物質でできた「裏の世界」は今、「闇の勢力」の力が強くなってきており、危機であるという。
闇の力が強くなってしまうと、戦争が起きたり、環境の破壊がひどくなったり、民意がないがしろにされたりする。


ポリフォン公「だが、闇を憎んではならん、憎む心もまた闇なのじゃ」

ヌシー大臣「ええっ、それじゃどうすりゃいいんです?」

姫「光を当てればよいのですか?」

ポリフォン公「闇を消そうとして強い光を当てれば、回り込んだ闇はそれだけ深くなる」


温かく柔らかい光ですべてを包むようにすれば、光と影の調和のとれた世界となる、その調和こそが大事であるということだった。


ポリフォン公「その役目を担うもののひとつが音楽なのじゃ!」

シグマ「あ、それじゃ音楽を愛する心を、裏の世界になんとか増やす必要があるんですね?」

姫「きっとそれです、私たちがここで出会ったのは!」

カメジロ「裏の世界がやべえと、おれたちにもトバッチリが来んのかい?」

シグマ「そりゃそうだわ、多重構造ってことは、連動してるからいずれ影響されるんだよきっと」

ヌシー「音楽を愛する心を、なんとかして裏の世界に届けるぞ、力を合わせよう!」

ポリフォン公「そのためには、みんな一旦、自分たちの来たところへ戻る必要がある・・・自分たちの地歩を固めるのだ」


このポリフォン城は残していくからオーゲル国の図書館として使ってくれ、とポリフォン公は姫に告げた。
この世界がいつまで存続するのか、それは謎なのだが、誰かが思いをいたせば、この世界はここにあるのだという。


ポリフォン公「この城にはいくつか宝箱がある、見つけた宝はそのために使ってくれればよい」

カメジロ「やたっ、そう来なくっちゃ~、ドラクエと言やあ宝箱だぜ、必技・「とうぞくのはな」っ!!」

( ̄●● ̄) クンクンクンクンクン!!と、カメジロは鼻孔を広げて探索を開始。

ポリフォン公「おい待て、せめて我ら一族がドラマチックに天に昇ってからにせんかっ」 


          10

ポリフォン公「さて、闇の勢力に負けないようにするために必要なものが、もうひとつあるが、なんだかわかるかね?」

マイマイ姫「温かい光で世界を満たすために、音楽を愛する心の他に、もうひとつ?」

シグマ「わかった! それは「お笑い」ですっ」

ポリフォン公「ぷっ・・・「お」は付けんでもよい、正解は「笑い」、やはり温かい笑いでなくてはならぬ」

カメジロ「お笑いならまかしといておくんなせえっ♪」

ヌシー大臣「いや、だから、お笑いじゃなくてだな(汗)」


ポリフォン公「どんなに苦しい時も、無理にでも笑うと、エネルギーが湧いてくる・・・覚えておきなさい」

カメジロ「ポリフォン一族は、笑っただけじゃ足りなかったのか、エネルギーは?」

シグマ「こらっ、そこは突っ込んじゃ申し訳ないでしょっ(汗)」


みんなの掛け合いを黙って聞いていたオルフェが、とりなすように言った、


オルフェ「闇に負けないためには、多くの人が温かいエネルギーを集めて助け合う必要があるのですね・・・」


ポリフォン一族の貴族たちはニッコリほほえんで、次々と光り輝きながら上昇して、城の天井を抜けて消えていった。

最後にポリフォン公が手を振りながら、「いつも見守っておるぞ、また会おう」という言葉を残して行ってしまった。


姫「ポリフォン公・・・裏の世界の私が、きっと博物館に行ってお会いしますよ・・・」

オルフェ「大丈夫ですよ姫様、「ネットの世界」でもポリフォン公は活躍なさいますから!」

ヌシー「さあそれでは、急ぎオーゲル城へ帰りましょうぞ」

カメジロ「待ってくれっ、宝箱がいっぱいあるぞ、全部いただくまで帰るなよみんな~っ(汗)」

オルフェ「もらっても、もとの世界へは持って帰れませんよ?(笑)」

シグマ「そうか・・・持って行けるものは、経験と、友情だけなんだね・・・」


          11

ヌシー大臣「おぉ、そういやシグマどのも盗賊になったが、活躍するチャンスもなかったか(笑)」

シグマ「あ、忘れるとこだった、これ・・・よかったら大臣の奥様にどうぞ♪」

ヌシー「ん?・・・おぉ~色とりどりのアクセサリーが5個、どこで手に入れたのじゃ?」

シグマ「ダーマ神殿で司祭様から失敬してきました!」

ヌシー「え~っ!?あのおっさんは独身のはずじゃが、なんでこんな女性用のジュエリーが???」

カメジロ「バニーちゃんたちにプレゼント・・・あわわわ、今のは空耳、蜃気楼!!」

ヌシー「ぷっ、だいたいわかったぞ、それではありがたく我が妻「マダム」にいただくとするか♪」

マイマイ姫「あ~っ、ヌシーずるいっ、私にもひとつちょうだいっ」


楽しげな笑いが5人に戻り、オーゲル城までの帰りはルーラ呪文で一瞬のうちに済んでしまった。
城の門番はじめ、庭にいる人たちも建物の中の人たちも、まだぐっすりと眠っている。


オルフェ「では姫が着替えられてから、みんなを起こさなければなりませんね」


マイマイ姫は急いでウエディングドレスを身につけた。
オルフェが竪琴を奏でようとしたその時、


カメジロ「♪朝だあ~さ~だ~よ~、朝~日~が~昇~る~~!!」


ドラ声が城中に響き渡り、人々はうなって目を覚ました。
「うわ、どっかの軍が攻めてきたのか!?」「大変だ、ソイビーン・ペースト(味噌)が腐るぞ」

新郎王子がマイマイ姫を見つけてほほえんだ、


王子「やあ、もう大丈夫? 顔色はいいみたいだね、フラワーシャワーが始まるけどいい?」

姫「ええ、ご心配かけてごめんなさいね、それじゃお庭のほうへまいりましょう♪」


新郎新婦は手に手を取って、人々から祝福の花を浴びせられて照れている。
「姫様、王子様、おめでとうございます♪」「お幸せに」「バンザ~イ」
次々に降り注ぐ花、花、花・・・

花びらが地面に降りる前に早春の風が踊るように渦巻き、花をまた吹き上げる。
その時、空の高みに虹色に輝くリボンのような、風の流れが一瞬見えて、

―――― 嬢ちゃん、おめでとう、いつまでも幸せにな♪ フォッフォッフォッ・・・――――

ポリフォン公の声を、マイマイ姫は確かに聴いたのだった。


          12(一応完結)

しばらく滞在していってください、とマイマイ姫から頼まれていたが、オルフェ、カメジロ、シグマの3人は遠慮することにした。
さんざめくフラワーシャワーのセレモニーのさなか、庭の一隅から3人の姿は人知れずスッと消えた・・・


こがらし亀次郎: う~ん、いやもう飲めねえ♪・・・って、あれっ!?

SIGMA(Darth Yumi): あ、亀ちゃんも気が付いた(笑) 無事に戻れたね。

ORPHEUS: 1泊2日の急ぎ旅でしたが、楽しかったですね。

亀: あ~っ、せっかく手に入れた剣がねえぞっ(汗)

S: 持って帰れるのは記憶と友情だけ、服装も元に戻ってる・・・

O: ちなみに本物のドラクエではいきなり「勇者」にはなれません。(笑)

亀: な~んだつまんねえ・・・でもまたやろうぜ♪

S: ひえ~っ、亀ちゃんのお守(も)りは大変だからコリゴリだよ!

亀: ひとのせいにすんなよ、ネタを思いつかねんだろ!

S: バレたか(笑)

O: そういえば「オーゲル城」の名前の解説ができませんでしたね。

S: そうでした、「orgel」は日本ではオルゴールと読んでますが、

O: 南蛮渡来の手回しオルガンが「オルゲル」だった名残です。

S: オルゴールに超詳しいM・mさん、ご出演ありがとうございました♪

亀: また楽屋オチやろうぜ~(笑)

O: ポリフォン公からの宿題は、ずっと覚えておきましょうね☆彡


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