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☆ 馬の顔 (初回掲載・2002年春、再掲載・2005年1月28日)
by Darth Yumi
馬を何頭も間近で見たことのない人は、よくこう言います、「馬って、目がやさしいでしょ」
いやその・・・目つきの悪い馬もいるんですよ!
実は、人間と一緒、いろんな顔があるのです。
ええ、たいていの馬は、優しい目をしています・・・落ち着いている時には。
同じ馬でも、その時の「状態」によって、表情はさまざまで、たずさわる人間はそれを観察しながら接していきます。
競馬から引退して、乗馬としてそれぞれの施設へ来た馬は、最初は落ち着きがなくて、目は血走っていたりします。
それがだんだん落ち着いて、ナミアシ(ポコポコと歩くこと)・ハヤアシ(対向する前・後ろの足を出してパッパッと2拍子で走る)などを上手にできるように訓練されていくうちに、優しい顔になっていきます。
さて、ここからが「お笑い系」の登場です。
まず全体ですが、一言で言えば、「馬の顔は長い」んですけど、それがいろいろあります。
画像のMくんなんかは、短いです!
(うちのダンナの仮説では、「距離適性と顔の長さは比例する」)
問題の目ですが、瞳は、ヒツジなどと同じように横長の長方形で、その回りの虹彩(こうさい)部分は黒いというか、暗褐色。
そして、人間の白目の部分まで、もう一回り同じ色がついて、その外が白い・・・というのが一般的です。
ところが、白目部分が大きい馬もたくさんいます。馬用語ではそういう馬は「白目」と言われます。気が荒いから注意しろ、とも。(ほんとかな?)
Mくんは、右目だけそうで、会員から「右目はいつもイタズラを考えている!」と言われています。
←お笑い系の馬
ふつうの目の馬でも、目の開き方によって白い部分の見え方が違うわけで、おびえている時や興奮している時はたくさん見えます。
「黒鹿毛(くろかげ)」の「まっくん」は、食べ物を見た瞬間に、そういう目になります。(好きだなあ、そういう馬・・・)
←まっくん
ほかの部分は割愛して、口です。
前歯は上下とも出っ歯で、平形毛抜きの先みたい。その奥に歯のない部分があり(オスは犬歯がありますが)、馬具の「ハミ」はそこに噛ませます。
さらに奥に臼歯。
上唇というか鼻先はとても器用で、上下左右によく動きます。
手が使えないからと思います。
ここでアクビです!ガバ~ッと口を開けると、鼻先がめくれ上がって、上の歯茎が剥き出しになり、鼻の皮はシワシワ。
←馬のアクビ
そして「フレーメン」反応の顔・・・謎です。
ほかの馬のションションのニオイを嗅ぐと、これをやる馬がけっこういます。
ションションの他にも、人間の息とか、頭のにおいに反応したという報告もあります。
顔を上に向け、首をのばし、口は閉じたまま、馬によっては「シュ~~~!」と言いながら鼻先をめくり上げます。
←フレーメン反応
ふだんめったに「放牧」してもらえないまっくんが、ある日馬場に放してもらえた時のこと。
彼は自分のションションを嗅いで、えんえん1時間半ぐらいそれを繰り返していました・・・気の毒でした。(苦笑)
☆ チビヤモリの話(初回掲載・2002年春、再掲載・2005年1月28日)
by Darth Yumi
うちのキタナイ玄関には、夏から秋のあいだ、夜な夜なヤモリたちが来ます。
今年は暑すぎたせいか、少ないので心配ですが・・・
きょう9月30日、今年生まれたらしいチビヤモリが1匹、玄関灯の少し上にいました♪
ここで、1年前のチビヤモリのTくんをご紹介しましょう。
その時のドキュメンタリー(!?)です。
うちのジャングル(庭)・玄関先・車庫には、何匹かヤモリが住んでいます。大きいのと、子供のがいます。
チビのは、複数いたとしても見分けはつきませんが、夜時々玄関のガラス戸に登って名ハンターぶりを発揮していました。
9月22日のことでした、緑地公園の駐車場にジムニーを置いて、100メートルくらい離れた厩舎(きゅうしゃ)で作業をした後、お昼になったので食事と買い物に行こうとして車にもどったら・・・後部ドアを開けた時に、チビヤモリがチョロチョロとボディを移動するではありませんか!
「えぇ~っ、なんでおまえがいるんじゃ!」
どうしよう・・・つかまえて袋に入れて家に帰るか?!
ところがチビはあっさりとバンパーの裏へ逃げ込んで、もう見つかりませんでした。
ヤバい、厩舎の近くなら逃げてもまだ生存の可能性はあるけど、道路で車から離れれば、まず生きていられまい!
しかたなく、落ちるなよと言いながら、20分ほどの家まで走りました。車を庭に置いて、1時間30分くらいそのままに。
あのチビが途中で消えたなら、それも運命・・・果たして無事だろか。
・・・夜になって、ふと玄関の戸に目をやると、チビが貼りついていました!
そのチビは、緑地公園の名前を取って、うちのダンナに「Tくん」と名づけられました。
1年経って、「あ、ちょっと小さい、これがTくんかな?」という程度にしか見分けがつかなくなって、ちょっと寂しい!
ヤモリは「夏に2個、卵を産む」と図鑑にあったけど、何年くらい生きるのだろう・・・。
☆ 馬の寝かた (初回掲載・2002年春、再掲載・2005年1月28日)
by Darth Yumi
馬は、もともとは群れを作って生きる動物でした。
その習性は、厩舎にいるサラブレッドにも残っています。
一方、飼われているがゆえの後天的な習性もたくさん見られます。
よく質問されることに、「馬って、立ったまま眠るの?」というのがあります。
答えは、半分 YES です。
立ったままトロ~ンと、目を閉じて眠って(?)いることがよくあります。草食動物なので睡眠が少なくてよいらしく、「浅い眠りのうちに、わずかに深く眠るときもある」と聞いたことがあります。
馬房の中にはオガ粉、あるいは敷きワラが敷いてあるのですが、そこで寝そべっている時もあります。
顔を立てて、鼻先というか、口を床につけて眠っているのも見ました。
一番すごかったのは、お笑い系のMくん。
初めて見た時は、セン痛(腹痛)でも起きて苦しんでいるのかと思ってびっくりしました。
横倒しになって、前後の足を動かし、ウス目をあけ、口を動かし、グウウウ~、ブフフフブヒッブヒッ!とか言うのです!
・・・夢を見て、寝言を言っているのでした! (@@;)
☆ 馬の水桶 (初回掲載・2002年春、再掲載・2005年1月28日)
by Darth Yumi
雨が1日中降る日・・・馬たちもたいくつしてるだろうな~、とつい思います。
競馬界とかリッチな施設ではともかく、一般的な乗馬施設では、なかなか全部の馬が常に過不足なく運動し、ベストの状態にケアを受けることは難しいものです。
ちょっと厩舎(きゅうしゃ)をご一緒にのぞいてみましょう。
お昼頃。 もう昼飼(ひるがい)は、ほとんどの馬が食べ終わったころで、食べるのが遅い馬だけが、まだゴソゴソと、思い出しては食べています。
ボロも一応全部の馬房(ばぼう)から取り去られています・・・が、早くもまた落とした馬も!
あ、ボロというのは馬糞のこと! 一説には英語の「ボール」から来た専門用語だと聞きます。
丸くないのも混在しますが。
外は雨、窓から顔を出しても、馬場にも誰もいないし、隣のグラウンドにも人影もない。
馬場の向こうの駐車場には、時折車が出入りするけど、厩舎まで来るものはないし。
厩舎の中はいろんな音がしています。
「フルルルル~・・・」
「・・・ゲッ、・・・ゲッ、・・・ゲッ」
「ジャラジャラジャラジャラジャラジャラ・・・」
「カッ、カッ、カッ、カッ」
最初のは、鼻息。
次のは、「サク癖(へき)」といって、前歯を窓枠などにひっかけて首を引く時に空気を飲み込む音です。
これは、やり過ぎると「疝痛(せんつう)」(腹痛)の原因になったりして、あまりよくないこと。でも馬にはよくある癖です。
みっつめのは、馬房の扉のところに横に渡してある鎖を唇でさばく音。 うるさい。
よっつめは、横になって寝ようとしている馬が、前足でオガ粉を集めている音。
「前掻き(まえがき)」といって、他者の注意を引くためにやることもよくあります。
食べ物をねだる時とか、疝痛を起こして助けを求める時など。
「ジャブ、ゴキュゴキュゴキュ・・・ビチャビチャ」
水を飲んだ馬がいました。
水桶は、馬桶(まおけ)の隣につるしてあります。(馬桶は飼葉(かいば)を入れるでかい桶です。)
リッチな施設では、給水管が天井に走っていて、各馬房に水を配るのもらくですが、ここでは長いホースで入れていきます。
一人でやるにはコツがあって、まず水道のコックをひねって水を出し、ホースの先を片手で持ち、もう片方の手で1箇所しっかりと折り曲げて水を止めます。
この状態で馬房の前まで行って、ホースの先を水桶に入れて、折り曲げているところを放す。
ちょうどよい水位まで入れたらまた折り曲げて止めて、次へ。
「ガフガフ~、ガッ!」
「ゲゲ~、ゲゲ~! ガラン、ビシャビシャ」
隣の馬房との間の窓には鉄格子がありますが、そこで口を出してかじりあっていた馬が、ジタバタしているうちにお尻が水桶に当たって水がこぼれています。
今は冬場なので 水遊びをする馬はいませんが、夏になると口で水をさばいて遊ぶ困った馬もいます。(画像集の「謎の馬」、おまえだよ、おまえ!)
そして一番泣かされるのが、ボロを落とす位置が決まってなくって、時々水桶の中に落としてくれるやつでした! ( ̄□ ̄;) ガ~ン
日本では、競馬界はともかく、乗馬界では馬におもちゃを与えて遊ばせるということは、まだあまり普及していません。
伝統としては、「遊ばせない」方針とか。
気の毒に・・・少しでもストレスを取り除いてやるほうがいいと思うんですけどねえ。 (T_T)
☆ 馬のゆくえ (初回掲載・2001年秋、再掲載・2005年1月28日)
by Darth Yumi
とても悲しい話です。
ほんとうのことが知りたいかただけ
お読みください。
馬にたずさわっていると、いろいろな悲しみを切り捨てていかねばなりません。
日本では、サラブレッドが年間八千数百頭「生産」されます。
そのゆくえを追ってみましょう。
まず生産牧場で、せっかく生まれても足に故障があったりして「使い物にならない」と判断された仔は「処分」されます。
次の段階として、当歳、1歳(以前は「2歳」だったが馬齢表示が変わりました)のうちに「セリ」や「庭先取引」で買い手がつかなかった仔は、たいてい「処分」となります。(はっきりいうと、「食用」です。)
たぶん1歳から(あるいは生後半年くらいから?)育成牧場で育ちますが、買い手のついた仔は、大切に育てられて、ある程度の調教をされてから、たぶん1歳の終わり頃に「入厩」(にゅうきゅう)して競馬界にはいります。
入厩しても、厳しい調教に耐え抜いて競走馬としてデビューできなければ、ここでふるい落とされます。運がよければ、どこかの「乗馬」になることもあります。JRA(中央競馬会)から公営へ行く馬もいるかも。
さて、無事にデビューして「新馬戦」でまず勝利を収めた馬は超ラッキー。
勝てなかったら、「未勝利戦」などに次々と出走しては、ふるいにかけられていきます。
どんな段階のレースでも、故障や事故の危険はつきまとっているし、サラブレッドは「血統」の問題があってもともと体が弱いということもあり、病気(おもに腸の不調)で死ぬこともあります。
競走馬なら、治る見込みがなければ早い段階で安楽死です。
JRAでは、4歳秋までに1回も勝てなかった馬は、ほとんどが「乗馬」という名目で引退となりますが、実際は大半が「食用」。
無事に競馬界で活躍を続けて、8~9歳(引退年齢はそれぞれ違う)まで走って引退しても、繁殖牝馬・種牡馬になったりできるのは、ほんのわずか。
乗馬としてあちこちのクラブに引き取られ、大事に使われ、かわいがられたとしても、最後は、「食用」になる馬がほとんどです。
昼夜放牧の養老院みたいなところへ行ける馬も、ごくまれにはいますが。
シンザンのように天寿をまっとうできる馬はほとんどいないのです。
だから、私のいた乗馬施設の馬たちの中のオーナーさんのいる馬はもとより、たとえ「練習馬」であっても、それなりに「エリート」なんです。
でももう生まれた牧場へ帰れる馬はおそらくいません。
昔から戦争に使われ、労働力として、娯楽用として、働いて最後まで人間に利用されてきた馬たち。
それを思う時、私はつい、世話をしていた馬たちにこうつぶやきたかった・・・お前たち、人間の言うことなんか聞くな!
でも実際は・・・「使えない」馬は「処分」ということになりますから、「がんばってな、元気で、よく言うこと聞いて、1日も長く活躍してな!」 (r_;)グシグシ
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