このサイトで発表しているすべての文章の著作権は、管理者と寄稿者にあります。
もしも転載を希望されるかたは、お問い合わせください。
(内容によってはやむなくお断りする場合もあります。)



☆  赤トンボはどこから (初回掲載・2001年9月、再掲載・2005年1月28日)

去年の8月初め、乗馬施設の馬場に、たくさんの赤トンボが乱舞していました。
「近くに池も川もないのに、どこから来て、どこへ行くんだろう?」といぶかる私に、akira さんがくださったメールの一部をここに。


寄稿者:akira さん

赤トンボですか。僕も最近、どこかで群れているのを見ましたよ。でも、どこだったか?
赤トンボも水生昆虫ですよね。川の水生昆虫の多くは、川の上流で卵を生むんですよ。
卵や幼虫が流されるからです。で、成虫は上流に向かって飛ぶわけです。
だから、この赤トンボはどこから来たのだろう?と思うんです。

今、日本列島は太平洋高気圧に覆われていますが、やがて高気圧の勢力が弱まり、寒冷前線が2,3本通過した頃の夕方、川下から川上に向かって強い風が吹くんです。
そんな日、驚くほどの数のカゲロウが水面を舞い、川上に向かって飛んでいるんです。
はかない命を振り絞って、種を残そうとするんですよ。

9月の中旬のイベントです。


☆  オニヤンマと、山の力 (初回掲載・2001年9月、再掲載・2005年1月28日)

これも、メールで教えていただいた、驚きの事実でした・・・。

寄稿者: akira さん

そう言えば、トンボの話題のついでにもう一つ。
ヤゴが育った川によって成虫の大きさも変わります。
簡単に言うと、豊かな川で育つと大きくなり、貧しい川で育つと小さいのです。
水質汚染には関係ありません。あくまで、餌の問題です。

中・高山の小さな沢を歩くと、シオカラトンボのようなオニヤンマによく出会うのです。森が貧しく、川の栄養分も貧しいからでしょう。

それは悲しい出会いでもあるのです。そんな沢沿いでは廃墟の集落跡を見ることもあります。
土地が貧しく、人間もその土地を手放さなくてはならなかったのです。
きっと昔は、飢饉の度にたくさんの子供達も飢えて死んでいったことでしょう。
地蔵が立ちつくしていたり、付近の温泉街ではこけしが土産物屋で売られていたり。
こけしは「子消し」です。(以下略)


☆  「富栄養」と山 (初回掲載・2001年9月、再掲載・2005年1月28日)


尾瀬沼などは、「富栄養(ふえいよう)」によってその植生が変わってしまうという危険を常にかかえています。
山とその土質、そこにある水の水質などのことを、akira さんが教えてくれます。


寄稿者: akira さん

「富栄養」にはいくつか。
富栄養とはリンとか窒素などの栄養素が多い状態を指しますが、尾瀬ヶ原では主に屎尿に由来していますね。
行ったことがありませんが、山小屋の裏には巨大化した水芭蕉が育っているらしいですね。

尾瀬では気温、水温が低いために分解が進まず、結果として泥炭層が発達し酸性を示します。
気温、水温、酸性という限定要素が多くの種の侵入を許さず、今の湿原を形成しているのです。
しかし、屎尿は分解しやすい性質を持っているために、植物を成長させ、湿原の乾燥化を招き、森林への移行を促してしまっているのです。
つまり、潜在的には富栄養状態だったのですが、分解しやすい有機物の流入によって表面化したと言えます。

オニヤンマが大きくないのは、もともと水温、酸性度などが適応していないからだと思いますよ。

他に、富栄養化には、分解がどうのこうのという問題が関係ない、琵琶湖などの低地や沿岸での問題や、酸性湖の問題もあります。

酸性湖の問題においては、猪苗代湖が有名ですね。猪苗代湖の北部では酸性河川の流入により酸性を示し、有機物の分解を限定していたのですが、周囲の水田からの化学肥料の流入により、富栄養化が進んでいます。
でもまあ、今でも綺麗ですよ。湖水浴場もあるくらいですから。猪苗代湖では北部と南部では生息する生物の種類が異なります。

自然のままで富栄養な状態はありえます。オニヤンマの話はこのレベルでの話です。古い森、つまり発達した森林を抱えた川では富栄養です。
若い山、例えば富士山では浸食がまだ少ないため土壌の発達が悪く、貧栄養な小河川が多いです。
また古い山地でも、岩盤が硬く土に変わらず傾斜のきつい山地では、土壌に栄養分が含有されにくいです。これは大山など。岩盤がアルカリ性を示しても、植生が限定されてしまいますから土壌の発達が遅いですね。これは北上の早池峰山など。豪雪地帯では雪崩で土壌や植生が削られますから、これもまた貧しいです。
越後の御神楽岳など。

これらの地域でも下流域では富栄養が進みますよ。単純に流れが遅くて、いろいろと堆積しますからね。
富栄養が自然に進んでいる地域は、古い山岳地域、雪の少ない太平洋側、柔らかい岩盤、豊かな降水量、等の条件が必要です。
長良川、四万十川などです。魚釣りで有名ですよね。天竜川は傾斜がちょっときつすぎますね。
はー、疲れた。
(読むほうも疲れたぞ・・・)

早池峰山に関して。アルカリ性です。植生は限定されています。裏を返せば貴重な植生が残されています。
面白い地域で、隣の尾根が別の岩盤で森林が形成されているのに、自分が立っているところが高山植生だったりして。
足下には世界でもその尾根にしか植生していない植物が生えていたり。
立っている尾根から流れ出している沢が貧栄養なのに、周囲の尾根から流れ出している沢が富栄養だったりするんです。

結論としては、すばらしい島に生きていると言うことではない
でしょうか?


☆  山と人間 (初回掲載・2001年9月、再掲載・2005年1月28日)


山がなかったら、どんなに寂しいだろう。
山に行くことで、多くの人は自分を見つめることができる・・・けれど、たくさんの人間が山にはいれば、たちまち汚染の問題がつきまとう! 
akira さんが一緒に考えてくれました:


寄稿者: akira さん

しかしながら、どうでしょう!?
人間が山に立ち入ることはいけないことでしょうか? 過度に立ち入ることは当たり前ながらいけませんが、個人的な趣向のうちに終われば良いのでは? 
集団的でなければ。
野ションだって野グソだって、極めて個人的であれば。
つまり、人間が持ち込む菌に自然界の菌が勝てる程度にです。
ヨーグルトは大腸菌その他にヨーグルト菌が勝つため、ヨーグルトになるのです。

尾瀬についても、観光開発されずに、登山家やマタギの手の中にあれば今のようにならなかったし、水力発電のために取水しているのも荒廃の原因の一つです。
じゃあ、原発!?火力発電!?とはなりませんが。

山に人間が立ち入ったからこそ、尊敬できる信仰が生まれたとも言えます。
前回、御神楽岳(新潟県)に触れましたが、冬は豪雪に埋もれ、春は豪雪が滑り表土をはがし、人間が容易に立ち入れない山岳地域を形成しています。
近年、登山道が整備され出しましたが、低い標高ながら神秘的な様相を呈しています。
夏でも、一度大雨が降れば剥き出しの岩山を一気に鉄砲水が流れ、自らその山体を守っているようです。

また近接している会津の文化にも、その低層な部分で深くかかわっています。
何よりも、その「御神楽岳」という名前がすばらしいと思いませんか? 
僕はその名前に惹かれて訪ねました。圧倒的な大自然です。
豪雪にはがされた傾斜のきつい山肌と、高密度の植生に覆われた緩斜面。
それに圧倒的な密度の動物相。(以下略)


特別付録:  川に蛇籠(じゃかご)を (2014年7月7日の掲示板より抜粋)

寄稿者: akiraさん

人間は食物、そして食物のエサの食物を大量消費し、食い、それは下水となり処理場を通って川に流れ出します。

つまり、北アメリカや東南アジアで行われた炭酸同化したものが穀物やお肉になって日本に入り、炭素「C」は祖国に帰ることなく川に流れでて、川と近海で大量の植物性プランクトンになり、汚染と言われてしまうのです。

そこで、川岸や海岸線で堤防等の工法を変えて動植物の行き来が活発になれば、食物連鎖によりわずかですが川や近海から「C」を引き上げることが可能なのです。

たとえば、垂直のコンクリート川岸に蛇籠を立てかけて杭を通したり。
そうすれば自然と堆積物がたまり、生物の行き来が活発になります。
500mおきに10mもやればぜんぜん違うんじゃないかと思うんですが。。

(編注)

蛇籠(じゃかご)は金属製の網みたいなもので砕石を包んだもので、古くは竹で作られていました。
「日本じゃかご協会」で検索すると詳しいことがわかります。



       ---ホームへもどる--- ---山小屋・馬小屋トップへ---